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茨の戒めが手首に食い込み、痛む。
手のひらを液体が伝う感触があって漸く出血していることにルシフェルは気づいた。
「強く握らないでくれウリエル、このままだと手が落ちる」
「あっ、すみませんなのですルシフェル様!」
慌ててウリエルが戒めより上にある腕を掴む。ガブリエルがウリエルへの言葉に握る強さを強めた。
(黙れ、とでも言いたいのだろうな…)
鉄仮面のガブリエルを見ても何もわからない。気づけばルシフェルは神判の間と呼ばれる部屋の前まできていた。
扉の装飾はゴテゴテとしており、石英でできた扉には細部まで彫刻が施されていた。
扉はゆっくりと開き隙間から中の闇を見せる。闇は光を吸い込んでいるかのように光は一切無い。
「さよなら、ルシフェル様」
嫌みたっぷりの言葉と共にガブリエルが開いた隙間にルシフェルを押し込む。
最後に見えたのは涙でグチャグチャのウリエルの顔と、ニヤニヤとした笑みを浮かべたガブリエル。
―――忘れるなよ、貴様。
ルシフェルはギンと睨んだ。
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