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ガチャリと、扉を閉める。
そうして振り返り、改めて部屋の内装を確認。
うん、実に素晴らしい。
ただダイレクトに床にゴロゴロ出来ないことだけが、玉に傷か。
カーペットは敷かれているものの、基本土足部屋だからな。
流石にその上に転がるのは、幾ら無神経なことに定評がある俺でも少々難しい。
俺はベッドの上に置かれていたリモコンを取り、壁に取り付けられている巨大液晶テレビの電源をつける。
チャンネルは3。
ニュースが流れていたので、キャスターの言葉を右から左に聞き流しつつ、俺は羽織っていた男物の上着を脱ぎ、ベッドの上に投げ置いた。
持っていた荷物も、あわせてベッドの上へ。
「さて」
舞台は、整った。
いよいよ俺の奏でる戯曲が開幕する。
ここからは恵と別行動。
さあ、精々楽しもうぜ。南斗一家。
「……まあ、まずは飯でも食うか」
時計を見れば時刻は12時を丁度過ぎるところ。
レストランはこの船に1つしかない上、朝、昼、夜に二時間ずつしか開く時間が定められていないので、もしかしたら誰かに会うかもしれない。
「それもまた良し」
俺は食事を取ることに決定すると、財布と携帯だけを持って部屋を出る――
「おっと、めるめる」
……と、その前に。
俺は一度ポケットにしまいかけた携帯を開き、ぽちぽちぽちとメールを打つ。
「これで準備よし」
さて、飯にありつくとしよう。
忘れずに金色の鍵を財布の中にしまい、俺は部屋の扉を開いた。
そうして廊下に出て、扉を閉める。
ガチャンと、鍵のかかる音。
当然のオートロック。
独りシニカルに笑う。
最高の舞台じゃねえか、全く。
「さあて、何を食べようかね」
フレンチか、イタリアンか、中華か、和食か。
恐らく何でも揃っているのだろう。
俺はテーブルに並ぶであろう素晴らしき料理の数々に想いを巡らせつつ、一定のペースで廊下を歩いていった。
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