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ここは武士の町…
まだ刀で戦がある時代…
もちろん武士であるものには命の保証というものはされていなく、いつ死ぬかわからない時代…。
それでも人は自分の命をかえりみず、“イクサ”へと足をはこんだ。
その激動のなか、お七と隆之介は生きていた。
隆之介は武士、お七は隆之介を支えている。
“お七”と呼ばれていますが、くの一で、本名は“七美”で、あだ名は“生きた死神”…。
その名の通り、物凄い速さで狙ったモノは必ず仕留める…。
隆之介はそのことを知っていた…。
だが、武士である隆之介よりも先に命を落とすのが嫌なのと、自分でも人を斬ることが嫌だった隆之介は、お七…もとい七美に人を守ってほしいと強く願った…
隆之介「七美…。頼みがある。」
七美「…今はお七ですよ。」
隆之介「お七…。もう、人を斬るのではなく、守ってほしいのだ…。」
七美「…隆之介さま。すみませんが、今はこんな時代です。確かにこの代々使う小太刀を汚したくありませんでした…。
ですが殺らなければ殺られる…。それだけ今の世の中は大変なのですよ。」
隆之介「だが…誰がいつ死ぬかわからぬこの時代…。この時代にこのようなことを言うことは無にひとしい。それはわかっている。だが、小さな子の未来はあるのか…?」
七美「…親が死んだら殺された子の一生は殺された悲しみで埋め尽くされてしまう…。」
目の前に小さな子が投げた鞠が転がってきた。
隆之介「光のような速さで…この時代を変えたいものだ…。」
隆之介はそう言って、鞠を小さな子に返した。
小さな子は何を言っているかわからず、頭に?がついていた。
七美「隆之介さま…。この時代…。変えたいものですね…。
私も…あの小さな子のように、毎日遊んでいました。
しかし、ある時、遊びから帰ると、父が戰に出、母は武士に殺されました。」
隆之介「…そうか…。」
七美「…私はバカですね…。私のような辛い思いをさせてはいけないと思い、悪党を斬り続けてしまった…。」
隆之介「…。」
七美は涙を流しながら後ろを振り向いた。
七美「…逆効果だったのですね。あのような元気な子の一生を、一瞬にして駄目にさせてしまう…。」
隆之介「…。」
七美「私は何て言う馬鹿なんでしょう…。」
隆之介「今さら悔いても仕方がない…。そのぶん、人を守り、助けてあげればいい。悔いても…死んだものは戻らないからな…。」
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