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土方の“探し物”を持ち出したのは沖田だ。
その探し物を持って逃げ隠れる沖田と一緒にいる原田は、自分があの場にいた事を後悔した。
土方の部屋を訪れた原田が見たのは本を読む土方ではなく、室内を物色する沖田だった。
何してんだ?と尋ねた所、宝探しと彼は答えた。
そしてある本を探し出した沖田は満足そうに笑むと原田を引っ張って逃げ出した。
「見つかるのが怖くて逃げてる…て訳じゃないんだよなぁ?」
「そうだね。僕はね、土方さんの為にこんな事やってるんだ」
怪訝そうな顔をする原田に見据えられて沖田は口端を上げた。
「近藤さんのお願いでもあるからね」
何故かここで局長の名が出る。
原田は大きく首を傾げた。
そんな原田の背中を盗んできた本で叩いた。
「まぁ、ついて来れば解るよ。とりあえず一緒に隠れてね?」
語尾にハートが飛ぶ。
裏がありそうな恐い笑顔を向ける沖田に原田は身を引いた。
「もうこの際諦めなさい」
壱帷は部屋の隅で呆けている土方に冷たい一言を投げかけた。
「私も飽きてきましたし、もうよしましょう。男は諦めが肝心じゃないですか」
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