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「喧嘩を売って来た奴らを斬ろうとした」
予想外の発言に、桂と吉田は目を点にした。
それは…なんと言うか…。
「怒られるわなぁ」
高杉はため息混じりに呟いた。
最近伸びてきた癖のある前髪を払う。
そして少年を見た。
「何で斬ろうとしたんだ」
「私の事を知っているクセに言って来たんだ。何時もの如く」
少年は眉を寄せて答えた。
周りが何時も少年に対し何を言うかは、高杉達は良く理解していた。
それはもう彼がどうにかする事で、自分達では手が出せない。
「先生はお前に大人しくして欲しいんだろ。はねっかえりだからな」
「黙れ派手男」
「派手で何か悪い!」
高杉はつい感情的になり怒鳴る。
少年はそんな彼をじとっと眺めてから呟く。
「…よそへやろうって言われたんだ」
「何?」
一番に反応したのは桂。
ボソボソと、途切れ途切れにしか聞き取れなかったから。
「私をここ以外の場所にやろうとしたんだ。私はここには置けないと」
高杉も桂もそれ以上何も言えなかった。
先生がしたかった事は解らなくもない。
「勝手に引き取っといて、時がしたら売るか」
「馬鹿を言え壱!」
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