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紅蓮―――
危険屋のホームでの話し合いを終えた後、本日はただ情報を伝えるだけだったらしく、紅蓮は人通りの多い表通りを歩いていた。
「チッ…これだけなら依頼者が来た時にでも話しゃあ良かったんじゃねえのか」
紅蓮の家から危険屋のホームまでは、徒歩で三十分程かかってしまうため、さすがに面倒だ。
それに今回は朝っぱらからストーカーのような奴にまでつけられたせいで余計疲れている。
「――!」
歩いている内に、突如何処からか見張られているような不気味な視線を感じ取った。
(そういえばつけられていたな…)
紅蓮は何も気付いていないふりをして、平然と通りを歩いていく。
(どうしたものか…ここまでしつこいとなると、放っておくのもな)
紅蓮は何処か曲がり角でも見つけて、適当に曲がってから、何者かが曲がってきた瞬間に捕まえようと企んだ。
そして曲がろうとした、瞬間――
「殺ス」
「!!」
曲がろうとした寸前に、突如何処からともなく、重低温の不気味な声が聞こえ、紅蓮は思わずその歩みを止めてしまった。
「何処にいやがる」
紅蓮は警戒しつ周囲を見渡したのだが、声の主は見つからなかった。
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