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「そろそろ怒りますよ」
スクリューは吠え続けるシドの頭を、丸めた新聞紙で叩いた。
「てぇ…っていうかいつから眼鏡かけてんだよ」
昨日までスクリューは眼鏡なんて掛けていなかった筈なのだが、今スクリューは眼鏡を掛けていた。
「プレゼント…知的に見えませんか?」
スクリューは眼鏡を人差し指で上げると、得意気な笑みを浮かべていた。
「どうでもいいから外せ!」
シドはやり場の無い怒りをスクリューの眼鏡にぶつけて、床に叩き落とした。
「何を八つ当たりするんですか」
「とりあえず本気で眼鏡は掛けないでくれ」
最初とはうってかわって、シドは弱気にそう言うと、スクリューから目をそらした。
「おかしな人ですね」
スクリューは気味が悪くなってきたので、眼鏡をたたんで胸のポケットにしまった。
「シドー、スクリュー、紅蓮来たみたいだよー」
知恵の輪を放り投げて窓の外にある街の光景を眺めていたルキが、二人に言った。
「遅い!!」
「やかましいと言っているのがまだ分からないみたいですね」
スクリューはまたシドの後頭部を新聞で叩いた。
そうこうしている間に、ルキの言った通り、紅蓮がホームに入ってきた。
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