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「今日お前の従兄弟の耕介(こうすけ)が帰ってくるんだ。身内だけで食事会をすることになってな。あいつがハルを呼んで欲しいと頼まれた」
耕介…?
ハルは記憶の引き出しを片っ端から開けて思いだそうと考え込んだ。
耕介、耕介…あ。
「耕介って中学まで一緒だった渡会耕介(わたらいこうすけ)ですか?」
「そうだ。いつもお前に対抗意識を持って勝負を挑んでは負けていた」
父・有哉は思い出したのかくく。と笑った。
「あいつが一人盛り上がって勝手にやってただけだ」
ハルは顔をしかめ面倒臭そうに言い放つとため息をついた。
当時はとにかくしつこくつきまとってきた。
何をやっても自分には勝てずヤケになっていたのだろう。
「その悔しさに耕介はアメリカに留学してたんだ」
笑いをかみ殺しながら言う有哉を無視して「じゃあアキには電話しておく」と言って社長室を出ようとしたが呼び止められる。
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