2019人が本棚に入れています
本棚に追加
「その心配はない。アキさんにはすでに電話してある」
「相変わらず行動が早いな、親父は」
「俺は考えるより先に行動する方なんだ」
そういうのは無鉄砲て言うんだよ。
ハルはそう言いたいのをなんとか我慢した。
礼をして社長室を出ると秘書室を通り、自分の部署へと戻る。
通る道で自分よりはるかに年上の人が頭を下げている。
ハルはここで仕事の都合上30歳にしていた。
元々老け顔だと自分で思っていたぐらいなので周りが怪しむこともなかった。
「おはようございます、部長」
「おはよう」
声をかけられた方に顔を向ければ秘書の秋元透(あきもととおる)がプリントを抱えて立っている。
相変わらずの無表情で愛想もないが26歳という若さでかなり優秀だ。
秋元はハルの本当の歳も社長の息子だという事も知っている。
「…それは何だ?」
最初のコメントを投稿しよう!