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「ソレハ、アナタハ選バレタカラ‥‥」
女の声は続けた。
「えっと、意味が分からないんですけど‥‥」
「アナタハ選バレタ。ダカラ、コレカラアルカナニキテモライマス」
質問に対して正しいとはとても思えない返答が返って来た。
「ですから、何に私が選ばれたのか?それと、一体誰が『私』を選んだのか?『あるかな』って何処?それに、武器を創造するって一体どういう意味なのか訊いているんです!」
語尾が少し強くなってしまった。
しかも、こんなに矢継早に‥‥
「アナタハ選バレタ‥‥‥‥」
『だから誰に?何のため?』と言おうとしたがその瞬間に声は続けた。
「神ニ‥‥神ニ選バレタ‥‥」
「‥‥はぁ‥‥?神サマ‥‥?」
神サマって、誰?っていうか、神サマっているの?
神サマっていうのは、人間が人間を越えた存在(自然とか、八百万の神とか)を作り出してそこに人間自信が依りどこるための所っていうか、知恵の結晶ではないのかなぁ。
だから『誰』と言った風に存在が明らかになっているのだろうか?
確かに、特定の人物が神の場合もある。
しかし、そんな高貴な存在が『私』なんて選ぶかなぁ。
ちょっと考えづらい‥‥。
「なんで私が選ばれたの?」
「助ケテホシイカラアナタハ選バレタ」
理由が分からない。のが普通、助けを求めるか?
神なのに?
神の力をもってなんとかできないのか?
「ハイ」
「私ごときに?」
「ハイ。アナタニ助ケテモライタイ」
「何故?」
そう、何故、何故私?
世界中で他に該当者はいないのだろうか?
「ツナガッタノガ、ソノ地域ダッタカラ。ソノ中デ、精神力ガ最モツヨカッタノガアナタダッタカラ」
「精神力が最も強い?私が?」
「ハイ、アナタハアノ地域デハ精神力ガ最モ強イデス」
「‥‥で、他にいなかったの?あんなにたくさん人間はいるのに」
「選バレルノハ嫌デスカ?」
急に雰囲気が変わった。
悲しみを湛えた声が響く。
「えっ、いや、その‥‥」
悲しませるとは、思ってもいなかった。
ただ、言われた事の意味が分からなくて‥‥
‥‥‥‥‥‥。
‥‥‥‥‥‥。
沈黙は2分間は続いたであろう。もしかしたらもっとかもしれない。
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