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「さっきも言ったとおり、これは俺たちだけで片付ける予定だった。
俺が犯した罪でもあるからな。」
いつにも増して真剣な顔をした八神が話し始めた。
「まずは昔話でもしようか。
……昔、俺は薬の研究をしていた。
その当時の共同研究者が如月秀也、珠羅の父親だ。
俺たちはヒトの90%の潜在能力に興味を持ったんだ。」
「八雲、僕は人を救うためにこの道を進んだんです。
どんな病気でも治せる様な薬を作りたいんです。」
「前にも聞いたぞ、それ。そう言えば、昨日の新薬の投薬はどうだったんだ?」
「ああ、あの事ですか?
先ほど、結果は良好だと連絡をいただきました。
このままなら、数日のうちには退院できるくらい回復したらしいです。」
そう言って秀也は嬉しそうに笑った。
秀也はわずか24歳と言う若さで一つの薬を完成させた。
そう、こいつはこの分野において100年に1人の天才と呼ばれる存在だった。
事の始まりは、ある新薬の最終段階のヒトへの投薬。
何度も何度も動物実験で成功していたからきっと大丈夫だろう、そう周りも俺たちも考えていた。
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