水谷夢

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        「みーずーたーにー」   「………」       何も反応を示さない彼に私は溜め息をつく。今は部活中、此処は野球部の部室、そこで水谷は寝ているわけで。     =サボり、ということ。   起きない水谷の耳を私は容赦なく引っ張ってみる。すると     「いったああ!」     と、涙目になりながらも水谷が起き上がる。きょろきょろと辺りを見渡し、私と目が合えばむぅ、と頬を膨らまして。     「また葵かよぉ、睡眠不足なんだからちょーっとは寝かせてよ」     未だに頬を膨らましている水谷を横目で確認して、くすりと笑みを浮かべて、当然かのように私は     「んじゃ、阿部にウメボシされたい?」     なんて言えば水谷は「それはぁ…」なんて言葉を零し、おどおどとする。あぁ、可愛いなぁって思う私はおかしいのかもしれない。   でも、本当に可愛くて仕方ない。可愛いから、こうやって構ってるんだろうね。    
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