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真っ暗な自分の部屋で阿部はベットの上に寝転がり、天井を眺めていた。音楽などはかけているはずもなく、部屋はシーンとしていて、聞こえてくるのはざあざあと音を立てながら降り続ける雨。ちらりと窓を見れば窓は雨に打たれ濡れていた。そんなに激しく降っているのか、なんて軽く流して枕元にある携帯を手に取り、メールがきてないか確認するためパカッと携帯を開ける。だが、メールの通知はなく、ただ待ち受け画面だけがうつっていた。はぁっと溜め息をついて携帯を閉じ、がばっと枕に顔を埋める。別に、三橋からのメールを待っているわけでもなく、水谷や花井からの時間割り教えて、的なメールを待っているわけじゃなくて。ただ、最近アイツと連絡とってねぇから心配なだけ。…心配するほど弱いやつじゃないかもしれないが、幼馴染みだし、アイツはすぐ溜め込むし…。そんなアイツの溜め込んでるモンを出させるのが俺の役目なんだけど、最近部活が忙しくてアイツの話しを聞いてやれなかったからきっと、強がって内心不安なんだろうなーって。俺の考えすぎかもしんねぇけど。なんて考えていると携帯のバイブが鳴った。まさか、とは思ったが高望みはせず、携帯をパカッと開ける。『水樹』と書いてあって着信。俺はすぐに電話に出た。
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