当て知らず

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 と、そこで。  襖が勢い良く開かれる。  少女の姿をしたその人物は、実際500年もの時を生きている。見かけによらないカリスマが数百人(匹?)の妖怪たちを惹きこませる、紅魔館の主。  紅い悪魔。  永遠に紅い幼き月。  レミリア・スカーレット。 「会いに来てあげたわよ!…………って、ここで何をしているのかしら、美鈴?」  中に入りながら襖を閉めて美鈴に視線を向ける。  美鈴は慌てながら立ち上がり、 「あ、あの、ちょっと寄っただけでサボったわけじゃ…………仕事に戻ります!」  狼狽えた表情で、ちらりと霊夢を見、すぐさま襖を閉じるのも忘れながら飛び出していく。 「何話してたの?」 「別に。」  そう言って残っているお茶を飲み干した。  時々だか、レミリアは霊夢の飲みかけのお茶を勝手に飲むことがある。そして、レミリアの視線の先を知った霊夢は見事お茶を守ることに成功したのだった。 「気付いた?」  と笑う吸血鬼。  憮然とした顔で、どこか楽しそうにしている巫女。  それはいつもどおりの日常。  退屈な彼女らにとっては、非日常な事が起きてほしいのだが。  そうそう変わったことなど起こるはずはない。  しかし、変わらない時間などない。  幻想郷の片隅で、異変が起きている。  それは気付かなければ変わらない日常で。  誰かが気付けば、いや、気付いたとしてもまた日常に戻されるだけの異変。  気付いてはいけない者が、知った時。  今までの日常は戻らない。
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