当て知らず

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 十六夜咲夜。  瀟洒なメイド長。  紅魔館の主に付き従い、どんな仕事もそつなくこなす従者。  今日も館内の掃除を終わらせ、食料の調達具合を確認、及び主のリクエストを追加させ、これまた一級品の紅茶を作り、決められた時間に一秒も遅れることもなく主人にもてなし、唯一の肉親にも運ぼうと地下に足を運んだとき。 「ん?」  フランドール・スカーレットの部屋……にしてはレミリアより巨大で簡素だが……の前に動かない大図書館、パチュリー・ノーレッジが怪訝な顔をして立っていた。 「どうしましたか、パチュリー様?紅茶なら図書館にもすぐに届けますが」  咲夜の問い掛けに、今気付いたのか、ああ、と答え。 「いやね、妹様がやけに静かだから」 「ご就寝なされてるのではないのですか?今は日が高く昇っていますから。」 「ん~。レミィは寝てる?」 「先程お目覚めになられましたので。今日は紅白に会いに行くとかで、昨日予定していた時刻通りに紅茶を差し上げましたわ」  そして日傘をさして行ってしまった。正直、独占欲が強いわけではないと自覚しているのだが、ついつい霊夢を妬ましく思ってしまう。
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