人は死ぬとどうなる?

2/4
前へ
/44ページ
次へ
大学時代、よく散歩をした公園にはハトがたくさんいた。 舗装された道に、一体なにがそんなに落ちているのか、 やたら歩き回っては地面をくちばしでつついて行く。 なかでも、よく俺が腰掛けてぼーっとしていたベンチの 近くに、いつもハトが群れをなしている一角があった。 何羽ものハトがしきりに地面をつついては、何かをつい ばんでいる。 (このベンチに座って、弁当の残りカスでも投げている  人でもいるんだろう) と思っていた。 2回生の春。 サークルの新入生歓迎コンパを兼ね、その公園の芝生に 陣取って花見をした。 綺麗な桜が咲いていた。 別に変なサークルではなかったが、ひとりオカルトの神の ような先輩がいて、俺は師匠と呼んで慕ったり見下したり していた。 その師匠がめずらしく酔っ払って、ダウンしていた。 誰かがビール片手に 「最初に桜の下には死体が埋まってるって言ったのは、  誰なんだろうなあ」 と言った。 すると師匠がムクっと起き上がって、 「桜の下に埋まってるのは幸せなヤツばかりとは限るまい」   と、ろれつの回らない舌でまくしたてた。
/44ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加