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「ここね、出るよ。」
いきなり何を言い出すんだと思ったが、妙にわくわくしてしまった。
「よし、今だ。俯いて。」
俺は言われたままに俯いた。
テーブルの下の視界。
隅から足が歩いてきた。
文字通り、足だけが。
「俺には全身が見えてるんだけどさ。」
このとき初めてこの人が今まで出会った霊感がある人と比べて格が違うと思ったのだった。
何故なら、
彼はもうすでに連れてきていたから。
僕達は二人で入った。
なのに水は三つ出された。
彼は座るときに奥に詰めずに通路側に座った。
まるで、奥にもう誰かがいるかのように。
「大丈夫。見えない方がいいときもある。こいつはその内消えるよ。」
その一件を境に僕は彼と色々なことに遭遇していく。
いつしか彼のことを師匠と呼ぶようになっていた。
これから話していくのはある事件を境に師匠が失踪してしまうまでの僕達の体験である。
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