○○県の廃病院

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師匠は怯える僕達をよそに、一人で散策していた。   師匠は不意に僕に駆け寄ってきた。   「なんか、期待外れみたい。」   僕はほっと胸をなでおろした。   この人が「期待外れ」と言えば、そこには何も無い。というのが保障されるからだ。   その時、上の階の方から、電話の音が鳴り響いた。   じりりりりり、と電話が鳴る。   気づいた時には駈け出していた。   女の子はもう大泣きで、手がつけられない。   外に出たとき、師匠が言った。   「あー、ごめんごめん。こんなに怖がるとは・・・」   まさか、と思ったがその通りだった。    電話の音は師匠の仕込だったらしい。   先に散策してる時に仕掛けておいたと言う。   そしてみんながもう帰るムードになったとき。   「僕達も早く帰ろう。」   「え?仕込んだ携帯はいいんですか?」   「まったく・・・仕込みのために携帯をもう一台買う余裕が僕にあると思うの?」   一瞬考えてから全身に電気が走った。   「あれは病院の電話だよ。音が古かったでしょ。」   なんてことをするんだこの人は、と思ったがあの場を静かにさせるにはアレしかなかったという。     後日、師匠はまたあの病院に行ったそうだ。   「また電話が鳴ってイラっときたから取って怒鳴ったら病院中でなり始めたからこれはヤバイと思ってすぐ逃げてきた。」   その後、その病院には行っていない。
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