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「そんな身体で何が出来る…?」
その途端、イリスの目の前に男が姿を現わした。
彫像のような美しい顔を晒し、長身を黒衣に包み込んでまるで尻尾のような足元まである黄金色の長い髪を引きずりながら、ベッドに足を進める。
「くっ…来るな…」
身を包んでいるシーツを握り締め、身体を強張らせるイリスは枕の下に右手を伸ばした。
そして、隠しておいた銃を取り出して目の前の相手に銃口を向けた。
「無駄なことを…」
まるで怯えた子供のような姿のイリスを見つめ、さらに足を進める。あと僅かでイリスの側に近づくときに銃声が鳴り響いた。
「くそぉぉぉぉ――っ!」イリスは喚きながら、引き金を引き、何度か鳴り響く銃声と共に数発の銃弾は目の前にいる相手に命中した。
しかし、様子が変だ。
命中した筈の弾は男の前で止まっていた。
「こんなモノで私は殺せない…」
空中で止まっている銃弾を指で摘み、握り締めると粉にしてしまった。すべての弾は一瞬にしてボトボトと床に落ちた。
「…嫌だ…来るなぁ…」
自分に近づいてくる男に身体を震わるイリスは、後退りをして逃げ道を探したが壁に囲まれた片隅にいた。
手に握っていた銃を投げ付けたが、男は片手で受けて取るとそのまま手から落とした。すると、ガタンッと凄い音を立てて床に落下した。
「私から逃げることは許さない…」
ベッドに身を乗り上げた男は、怯えるイリスに近付くと片手で顎を掴み、顔を寄せて唇を塞いだ。
「ふぅ…やめっ…んん…」一瞬、イリスは瞳を大きくして身体を固めた。
しかし、強引な男の口付けにイリスは赤面しながらも、必死に抵抗を試みるが両手を捕まれてしまい、顔を振るしか出来なかった。
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