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悠はスプーンにパインをのせて見つめる。 「パイナップル…入ってるよ?」 「入れたんです。」 「…。」 悠は茉莉子の皿を見る。パインが除けられている。 「食べないの?」 「嫌いですから。」 「…何で、入れんの?」 「…。嫌いですか?」 「どっちでもいいけど…。」 「じゃあいいじゃないですか。」 「…修司くんが好きだったんだ?」 「にぃは、果物はオカズジャナイッテ怒ります。ワカメも嫌いで…。」 「へぇー…。」 (わかんない子だな…。) 悠はため息を吐く。 修司の部屋に茉莉子は閉じこもる。 写真が好きだった。残すのが好きな奴だった。 壁中に写真が貼ってある。 アルバムもいっぱい残していった。 笑える写真。友達がいっぱい。笑ってる写真がいっぱい。 葬式の時もたくさんの人が来た。 にぃ、友達多かったな…。 …あの人、職業ってなんだっけ…? 茉莉子はアルバムを一枚ずつめくって見る。 (ない…。) アルバムをめくり続ける。2冊目を手に取る。 (あっ…た…。) それはごく最近の写真だった。 病室で満面の笑みでピースをしている修司に一方的に肩を組まれて微笑んでいる悠。 こんなの知らない。いつ…? もう一枚、アルバムに入っている写真は何か店の前で親指を立てて笑顔の修司の隣で、後ろに手を組んでシラっとしている悠。 (藤原悠…個展…?) 看板を読む。 茉莉子はハッとして本棚を探す。 藤原悠…。 (あった…。) それは絵画の作品集だった。藤原悠作品集。深いブルーの本だった。 画家なんだ…。 画家?…手は?
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