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茉莉子は悠の言葉に顔を上げる。
「どうして?」
どこまでも不思議そうに悠を見る。その目に悠は戸惑った。
「だって…騙してた…。そうしないとここには居させてもらえないって思って…。」
「騙されたなんて思ってません。手が動かないのは本当だし、私のせいなのも本当だし。…出ていきたいなら止めませんけど…出ていってほしいとは思ってません…。」
「本当…?」
「はい。」
茉莉子は、つい笑ってしまう。
いつも静かな悠が子供みたいに泣きそうな顔になってるを見て可笑しくなった。
「にぃの話、聞かせて…?」
悠は茉莉子を抱き締めた。
「俺が守から。修司くんの代わりに…俺が…君を守から…。」
茉莉子は何か…悠に知られず体中に熱くなるものを感じた。
「お箸、使ってる…。」
「左利きだから…。」
「そっか、…騙された…。」
「…。思ってないって言っただろ?」
「今思った。」
不安げな顔をする悠を見て、茉莉子は微笑む。
「茉莉ちゃん、俺今日、彼女と会うから遅くなるね。」
「はーい。」
「男の子連れ込んだりしちゃダメだからな!」
「自分は彼女とやりまくるくせに。」
「…。茉莉ちゃん。下品だな。あのーさ…。んー。茉莉ちゃん恋いはしたことはあるよね?」
「ない。好きな人出来た事無いよ。」
「恋しよう?キューンてなるような。女の子がやりまくるとか言っちゃダメだよ。もうにぃは今夜彼女抱けないよー。」
「そりゃよかったね。」
「もう…。」
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