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警察が帰った後、茉莉子はベッドに頭まで入った。
恐くてチェーンキーもすべての窓もカーテンも閉めて。
自分の部屋の鍵も閉めて布団に入っても恐くて眠れなかった。
キャップの男は捕まらなかった。
また来る。
そう思うと涙が出る。
にぃ、助けて。にぃ、にぃ…。
「茉莉ちゃーん、早く起きないと遅刻だよー。」
修司が茉莉子の部屋のカーテンを開ける。
「…今起きても遅刻だもん。行かない。」
「茉莉っ!」
「イヤなの!バカっ。」
「バカ?にぃを敵にまわすとなぁー。」
「いいよ。にぃも敵で。大っ嫌いっ。」
「…。中学校、嫌い?」
「別に。」
「そう。じゃあ、にぃも休もっ。」
修司は茉莉子のベッドに入り込み、茉莉を抱き締める。
「にぃ、休んでいいの?」
「ダメに決まってるじゃん。でも茉莉が休むって言ってるし。一人にはさせたくないんだもん。」
修司は茉莉子の頭を撫でる。
茉莉子は修司の胸で大声で泣きじゃくった。
お父さん、お母さんって叫んで泣いた。
茉莉子はこの事を思い出すと、修司に申し訳なくなる。
一番辛かったのはにぃなのに。
ごめんね。
―ピンポーン―
朝、TVを見ているとインターホンが鳴った。
ビクビクしながら受話器を取ると昨日の警察だった。
茉莉子はつい鍵を開けた。
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