出会いはパソコンの中

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さとし。 さとしは、今でもユウの心の恋人だよ。 ………………………… 『また強がり言っちゃった…。』 電話を切り、ため息交じりにユウは呟いた。 ユウ28歳。 片思い実って、4歳年下の彼氏洋介と付き合い始め1ヶ月。 幸せ絶頂だったのは、付き合い記念日だけ。 『結局私は都合のいい女。』 年上の重圧で不満1つ言えず、ものわかりのいい女を演じる毎日。 どこまでも続く霧に包まれているような、モヤモヤした日々が続いている。 そんな時、ユウは、ある1人の男性と知り合う。 名前はさとし。 洋介と同じ4歳年下の男の子。 さとしとの出会いは、パソコンの中だった。 洋介とユウは、東京と地方都市で遠距離恋愛をしている。 会いたい時にすぐ会えない距離。 洋介と思うように会えず、暇を持て余していたユウは、遊び半分で、ある友達探しのサイトに顔を出した。 そこには、出会いを求める男性の書き込みが溢れていた。 最初は、初めての体験だけに、1つづつ丁寧にその書き込みを読んでいたが、 それも次第に飽き、適当にパソコンを眺めていた。 「こんな書き込み書いて、返事を待つ。みんな暇そうだな。」 そんな風に冷めて眺めている中で、1つだけ、気になる書き込みを見つけた。 『最近心が折れてます。でも決して卑屈にはなっていません。 こんな時、友達や家族じゃなく、俺のことを誰も知らない誰かと話がしたいと思うのは、俺だけでしょうか。』 なんとなく共感した。 自分は、友達がいないだとか、決して寂しい人間ではない。 でも、自分のことを誰も知らない人と話がしたい。 ユウもそんな気持ちになったことがあった。 沢山溢れる書き込みの中で、ユウは唯一、その書き込みにだけメールを送った。 『すごく、わかるよ。』 たったその一言だけ。 翌日、返信が届いた。
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