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「リディア様~!」
「何?」
暖かい日の午後、李兎とリディアは久しぶりに花畑にへと出掛けて居た。
リディアは焼けるのが嫌で日陰に座り、李兎は花畑で遊んでいる。
「ほら、リディア様に似合います!」
花束を持ちながらも摘んだ花で花冠を作れば子供っぽい笑顔を浮かべてリディアの頭の上に花冠を乗せる。
リディアは花冠を取ろうと思っていたが李兎の笑顔を見れば取るのを止めた。
「花って綺麗ですよね」
(リトの方が綺麗だわ)
どこから見ても目の前にいる少年は美少年だとリディアは思った。
いつもは殴ったり蹴ったり色々な物を使って虐めたりしていたリディアはじっくりと李兎を見ることなんてなかった。
(本当に綺麗…)
いつもはゴムで縛っている李兎の髪も今は縛るものがなくて風に揺れている。
顔を隠していた眼鏡もリディアが無理矢理外させた。
「リディア様?」
きょとんと不思議そうにした表情でリディアを見つめながらも軽く首を傾げる姿はいつもより子供っぽく見える。
座りながらもリディアは立っている李兎の手を引っ張ってこちらに抱き寄せる。
「リト」
「うわっ、わっ!」
引っ張られてバランスを崩せばそのままリディアの腕の中に収まる。
リディアは自分よりも大きい身体を愛おしそうに抱き締めた。
その時、李兎が持っていた花は宙を舞い2人の周りに花びらが散った。
(これが幸せって事なのね…)(愛しい私のリト)
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