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その後、いつもと変わらず彼は帰ってしまった。
窓から下を眺めると遠ざかっていく彼の背中が見えて、なぜだかやるせない気持ちになって顔を背ける。
ふと気づくと机に小さな袋があって、持ち上げてみると口から中身がこぼれ落ちてしまって。
「あっ」
四角く切り取られた木目の上を跳ね転がるそれをつまみ上げる。
それは硝子玉だった。
透明な殻の中揺らめくような形を持った赤色は煌めきを散らすように透き通っていて、袋の中には青や、緑や、見たこともないようなたくさんの色がある。
それが、とても綺麗な物に思えて。
ふと机に引き出しがあったことを思い出してなんとなく、本当になんとなくなのだけれど、わたしはそれをしまっておくことにした。
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