~ 解 凍 ~

8/21
前へ
/144ページ
次へ
 2つ隣の捜査1係は、全員が出払っていた。  中央のデスクには、大河原刑事課課長が、電話で部下からの報告を受けている。  叩き上げの長が備え持つ、その圧倒的な存在感。  部下から『オヤジ』と慕われる理由が、よく判る。  あの人になど、不用意な質問を投げ掛けられる筈もない。  狭間は、身の程をよく解っていた。  このフロアーから自分が情報を拾うことなど、不可能であると。  狭間は、喫煙所に出向いた。  周囲に気配がないのを確認し、携帯を取り出した。  『アイツ』に借りを作るのは少し癪だが…どうしても知っておきたい。  美穂に何があったのかを。  相手は誰だったのかを。
/144ページ

最初のコメントを投稿しよう!

531人が本棚に入れています
本棚に追加