~ 解 凍 ~

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「まぁ確かに…でも、外傷なし、二次被害もなしってコトは…薬物か?」 『それはねぇ…。川原のオッサンの見立てだがな。まぁバラした結果を聞かなきゃ、何とも言えねえが』 「ふぅん。でも実際、コロシなんだろ?そんな事が出来るのか」 『だから聞き込みで回ってんだろが』 「お前の、刑事としての勘か」 『オヤジの見解だ。一係総出であたってる。オレはホトケの身辺調査だ』  狭間はどきりとした。 「女か?」 『そっちは石田が行ってる。オレは男の方のガサ入れ終えたとこだ。なぁに、会社社長ったって、名前だけでよ。独身男の安アパートで、汚ねぇわ臭ぇわで』 「収穫はあったのか?」 『やけに食いついてくるな。何か訳知りか』 「いや、只の野次馬根性だ」 『馬鹿野郎。話せるかよ。第一まだ、コイツが女の店の常連だったって事ぐらいしかわかってねぇ』  常連、というキーワードに、狭間の心拍が大きく波打った。
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