~ 解 凍 ~

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 指に挟んだショートホープが、小刻みに震えている。  常連。  あの中に、鈴木が居たのか…?  31歳。狭間とそう変わらない年代だ。  あの饒舌な男か…。狭間の脳裏に、端正な顔立ちをした男性が思い出された。  狭間が掲示板で、他のメンバーに絡むことは滅多になかった。  ハンドルネームすらよく把握していなかったが、その男が確か『ポーリィ』と呼ばれていた奴だったことは、狭間の記憶に残っていた。  狭間は、自らの中にある次の手掛かりを探った。  そして、あの店に居合わせた連中と会話を交わしたものの、互いの連絡先などは交換しなかった事を悔やんだ。
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