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11日11時32分。
コヨミどおりに休める身分なんてよぉと、狭間はよく小野から羨ましがられた。
それが羨んでの言葉ではない事など、狭間にはよく解っている。
その後は決まって、刑事のシゴトがいかに大変であるかの弁舌が始まる。多くの武勇伝とともに。
だが今日と明日は、このタイミングで休めた事を感謝している。
手繰り寄せられる唯一の細い、限りなく細い糸。
『坊ちゃま』が美穂の店に現れるのは、今日をおいて他にない。
彼がもしそのまま帰宅したならば、美穂の死を知り、ここに来店することもないだろう。
彼が書き込み通り、出張帰りに立ち寄ってくれる事を、狭間は祈っていた。
タイニーピープルの開店時刻からずっと、狭間はビルの近辺を彷徨いている。
17時20分。
まだ、その男は現れない。
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