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その後、狭間は美穂の店に通い始めた。
ランチタイムメニューと銘打った軽食を、外出可能な火曜日に食べに行くローテーションが出来上がっていた。
名前と一緒で週イチね。
美穂の冗談は、夜の来店を求めていることは分かっていた。
しかし、あの連中と同じ空間を共有するのは、何となしに憚られた。サイトを覗くことも、殆どなくなった。
その美穂が、死んだ。狭間の所轄内で。
10日の勤務に就き、引き継ぎ書類に彼女の名前を見つけた時、狭間は総毛立った。
美穂に、恋愛感情を抱いていた訳ではない。
しかし、狭間にとって彼女はあまりに魅力的だったし、興味を掻き立てられていたのは事実だ。
驚きと同時に、狭間は美穂の死に対する猛烈な好奇心を抱いた。
これから彼女の実像に近付いていくことが、自らに課せられた使命である――狭間には、そう思えた。
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