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楽しそうに話している二人を見ながら、少し離れたところで麗奈が呟いた。
「いいなぁ」
「何が?」
「心の友っていうの? あんな関係の人がいるって羨ましい」
「だったら作ればいいだろ」
淡々と言った裕の背中を、麗奈は思い切り叩いた。
「いって!」
「そんな簡単なもんじゃないでしょ!?」
「んなこと解ってるよ!」
「だったら……」
「高校に入学したら、友達を沢山作ればいいんだ。中には一生付き合う友達もいるだろうし、心からの友達だって出来ると思うよ」
萩が言って、笑顔で裕の方を見遣る。
「……ってことを言いたかったんだよね? 口下手な狐くんは」
「うるせぇ」
「あんたは口が悪いのよ」
裕は麗奈を恨めしげに睨んで、すたすたと歩き出した。
「……解決したんだからさっさと帰るぞ」
「あ、こらこら」
「えーと、お邪魔しました!」
麗奈の声にサクラと涼子が振り返る。
「もう帰るの?」
「またお茶しに来てね」
「はい、是非」
「あと……」
サクラに手招きされ、麗奈は桜の木に近寄った。
「あの金髪の、裕君だっけ? 肩に……」
「ああ、アレは放っといていいの。じゃあ、また来ますね」
「はは……またね」
苦笑を浮かべるサクラと涼子に手を振って、麗奈は裕と萩を追い掛けた。
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