小さな桜の木の下で。(完結)

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駆けていった麗奈を見送ったサクラが、不安気な声を出した。 「本当にいいのかな……」 「庭に桜の木があって唯一困るのがアレなのよね」 「ごめん」 「サクラの所為じゃないよ」 「でも……刺されたら結構腫れると思うんだけど。大丈夫かな」 「あの三人、仲は良さそうなのにね」 「もうすぐ高校生だって言ってたね」 「高校かぁ……懐かしいなぁ」 「僕達が会ったのも、君が高校生の頃だっけ。……随分成長したね、意識が戻って最初はびっくりしたよ」 「もう15年も経つものね……老けてきたかな」 「ううん、綺麗になった」 「……やだもう、昔は綺麗じゃなかったってこと?」 「違うってば」 まるで同窓会のように、思い出話に花が咲く。 それからほんの数秒後。 漸く肩に毛虫が載っているのに気が付いたらしい裕の悲鳴が、閑静な住宅街にこだました。 END
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