無題

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   「おい、見ろよ」  俺は友人が指差す方へと目を遣った。  学校からの帰路の途中、なんの変哲もない住宅街の一角に、遠くから見てもわかるほどに痩せ細った黒猫が倒れていた。  「死んでいるのか?」と後ろを歩いていた友人が誰に問うでもなく言う。  いや、そうではないらしい。俺たちが一歩足を近づけると、黒猫は素早く首を上げ、こちらの方へ顔を向けた。  
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