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「……いますけど……なんか、ウマが合わないってゆうか、なんてゆうか……」
「ほぉ~。ウマが合わない、ねぇ」
色黒の高校生は、突然にやりと面白そうに笑った。
「……気に入った。俺は漆原譲治だ。お前は?」
「ジョージ? ……外国人ですか?」
「誰がジョージだっ! 譲治だよ、じょ・う・じ! おまけに何なんだお前? 小学三年生でそんなバリバリの敬語使うやつなんか見たことねぇぞ!」
「これは……大人と話すことのほうが多いから……」
「あ?」
ジョージはしばらく黙って結城を見つめていたが、
「……そうかい」
ぽつり、とまるで独り言のようにそうつぶやくと、そっぽを向いてぼりぼりと頭をかいた。
決して、深くつっこんで無理に事情を聞き出したりなどしない。
ジョージのそんな小ざっぱりとした性格に、結城は少しだけ好感を持った。
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