第一章『黒く深い深海へ』

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「さて、では順にお話いたしますね。」    ヘリコプターが離陸し、バタバタとうるさい機内で、防護服を着た男が大声で喋りかけてきた。   「お二人は今から10日前に、商店街内の献血センターにて献血をしていただきましたね?」   「………はい、それが何か?」   「冷静にお聞きください。あの時、採血に関わった日本赤十字社の医師・看護師の内6名が死亡いたしました。」   「!!!!!!!?」   「最初の感染症検査では特に異常は見当たらなかったのですが、死亡した医師・看護師の共通点を調べましたところ、ある方の血液にたどり着きました。」   「………それが、…僕…………。」   「違います。大久保ハルカさん、あなたです。」    「は!!!!!!?」   「日本赤十字社と厚生労働省の調査により、大久保ハルカさんの血液に感染経路が絞られました。」   「…………。」   「そこでもう一度血液を検査したところ、大久保ハルカさんの血液から、死亡した医師・看護師に感染したウイルスと酷似したウイルスが発見されました。」   「ちょっと待ってください!!!!じゃあハルカはなんで無事なんですか!!!?そんなの信じられません!!!!」     すると防護服を着た男は、一息ついて語りだした。
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