第一章『黒く深い深海へ』

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「我々はそこを調査したいのです。」    ハルカは一点を見つめ、体操座りでガタガタと震えている。   「じゃあ僕は!!!?一番長く一緒にいる僕はなんともありませんよ!!!?」   「今確認されている最長潜伏時間は48時間。牧瀬アラタさんに潜伏していない保証はありません。」   「だからといって、こんな……………。」   「ご安心ください。牧瀬アラタさんにウイルス感染が確認されないのであれば、すぐに解放されますので。」    何かを隠しているような口調に僕は怒鳴り返した。    「僕のことじゃない!!ハルカはどうなるんだ!!!?」   「今後、大久保ハルカさんには、研究室内の特殊病室にて生活していただきます。まぁ、それもワクチンが精製されるまでの辛抱です。」    僕はどうしてもこの防護服の男のセリフが信用できなかった。   「これは国家の決定事項です。ご協力いただけますね?」    その後、僕は何も喋らず、隣で震えるハルカの肩に手を添えた。
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