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「クソ!!!!必ず確保しろ!!!!」
後ろの方で防護服の男が喚いているのが聞こえた。僕は振り向く時間さえもったいないので、とにかく全力で走った。
「アラタくん!!!!」
ハルカが僕に話かけるがそれどころではなかった。自分一人ならまだしも、足の遅いハルカを引っ張りながら逃げるのは、さすがに酷だった。
ある程度逃げた後、振り向いたが、さすがに防護服の重装備では追ってこれないらしい。
車を出したとしても、あの格好で車に飛び乗り、すぐに追ってこれるとは考えにくい。
だとしたらやはり先ほどのヘリコプターで追ってくるだろう。
僕は逃げ込んだ公園の側に停めていたタクシーに乗り込んだ。
「すみません!!すぐに出して下さい!!!!」
突然飛び乗ってきた僕たちに驚きつつも、タクシーの運転手はドアを閉めた。
「え?ああ、はいはい。で、どこへ?」
「えーと、じゃあ隣の県まで。」
「隣の県ってアバウトすぎますよ。いや、私らにとっちゃ嬉しい距離ですがね。」
「とにかく隣の県であればあとはお任せしますから、早く出してください!!!!」
タクシーの運転手の対応からすると、あのウイルスのことは公表されていないのだろう。何より、僕たちが連れて行かれたビル周辺を封鎖していなかったのだから、マスコミには伝わっていない極秘情報のようだ。
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