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「これからどうするの?……もう私、どうしていいのか……。」
「大丈夫。君は僕が必ず守るから。」
「アラタくん……。」
涙を流すハルカを、僕は命に代えても守りたいと思った。
こんなにも小さく、こんなにも純粋で、こんなにもひたむきに生きてきた彼女を、一体誰が犠牲にできるだろう。
僕は彼女の不幸な運命に怒りと悔しさを感じた。
ガガ…ガガ…
「!!!!!?」
その時、無線が鳴り出した。
(やばい!!!!奴らだ!!!!)
僕はタクシーの運転手が無線をとるまで、必死に脱出を考えた。
タクシーはすでに県堺の峠。人通りの少ないここで降りるのは悪くはない。しかし無線をとって事情を聞いたなら、運転手は僕たちを逃がしはしないだろう。
かといって、ハルカを連れて結構なスピードで走るこのタクシーから飛び出すのはリスクが大きい。
(仕方ない。運転手が無線をとり、態度に少しでも違和感があれば脅してタクシーを停めるしかない。)
僕はドキドキしながら運転手が無線をとるのを待った。
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