第一章『黒く深い深海へ』

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「これからどうするの?……もう私、どうしていいのか……。」   「大丈夫。君は僕が必ず守るから。」   「アラタくん……。」    涙を流すハルカを、僕は命に代えても守りたいと思った。     こんなにも小さく、こんなにも純粋で、こんなにもひたむきに生きてきた彼女を、一体誰が犠牲にできるだろう。     僕は彼女の不幸な運命に怒りと悔しさを感じた。   ガガ…ガガ…    「!!!!!?」    その時、無線が鳴り出した。    (やばい!!!!奴らだ!!!!)    僕はタクシーの運転手が無線をとるまで、必死に脱出を考えた。     タクシーはすでに県堺の峠。人通りの少ないここで降りるのは悪くはない。しかし無線をとって事情を聞いたなら、運転手は僕たちを逃がしはしないだろう。    かといって、ハルカを連れて結構なスピードで走るこのタクシーから飛び出すのはリスクが大きい。   (仕方ない。運転手が無線をとり、態度に少しでも違和感があれば脅してタクシーを停めるしかない。)    僕はドキドキしながら運転手が無線をとるのを待った。
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