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「………………?」
しかし、一向に運転手は無線をとる気配がない。
(もしかしてすでに事情を知ってるのか!!!?いや、それならばウイルス感染を恐れ、簡単に僕たちを乗せるわけがない。)
気になった僕は、タクシー運転手に探りを入れてみた。
「あの……今、県堺ですよね?」
するとタクシー運転手はゆっくりと答えた。
「……え?…ああ、県堺……そうね。県堺でしたね、ここ。」
「?」
「いや、お客さんに聞くのは間違いだろうが………この無線、どうやってとるんだっけ?」
「は?」
「と言うか、お客さん、どこに行くんだっけ?」
「何を言ってるんです?隣の県ですよ、隣の。」
運転手の言っていることがさっぱり理解できない。
(目的地ならまだしも、無線のとり方?コイツ、とぼけているのか?)
すると運転手はソワソワしだした。
「あの……ブレーキはどれですかね?今踏んでいるのはアクセル?……アクセルって何だ?」
運転手の様子が明らかにおかしい。
「ちょ、ちょっと運転手さん!!!何言って…」
「う…………うわぁぁぁぁ!!!!これどうやったら停まるんだ!!!!!?」
運転手はなぜか混乱し、雄叫びをあげている。
タクシーはカーブ手前に関わらず、崖に向かってスピードを上げだした。
「やばい!!!!!」
僕は運転席に無理矢理割り込み、アクセルを踏んでいる運転手の足をどけ、ブレーキを踏んだ。
キキキキーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
「きゃああぁぁぁーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!」
僕は死を覚悟した。
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