序章『日常という幸せ』

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 ハルカは付き合って1ヶ月の彼女。知り合ったのは大学に入ってからだ。    僕は知らなかったが、ハルカは高校時代から僕を知っていたらしい。     空手の全国大会で優勝した時、友達に誘われて見に来ていたらしい。     その後、僕は様々な大学から誘われたが、すべて断り一般受験で今の大学に入学した。     体育大学からの誘いは嬉しかった。ただ、空手を一生続けることを強制されているようで嫌だった。    空手は好きだが一生続けるつもりはない。大学では趣味くらいで続けたかった。     ハルカはそんな格闘技などとは無縁の女の子。内気で家庭的。全国大会の僕の試合の時も、ほとんど目を閉じていて、唯一まともに見たのは僕が表彰される瞬間だけだったそうだ。    そんな対極的なハルカに僕は不思議な魅力を感じた。僕とは住む世界が全く違うようで、羨ましくも思えた。
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