第一章『黒く深い深海へ』

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    『緊急連絡です。現在大学内にいる方は全員、至急第二棟ロビーに集合してください。繰り返します………。』    無機質で業務的な声が校内に淡々と流れる。   「……何かあったのかな?」    不安そうにハルカが言う。僕は気楽に答える。    「さあ?……もしかして校内に殺人犯が紛れ込んだとか?」   「嘘!!!?」   「いや冗談だよ。」    校内放送は続く。   『なお、現時刻よりいかなる理由がございましても、当大学内の出入りは一切禁止いたします。ロビーにて採血した結果、出入りを許可いたします。』   「はぁ!!!?」    その意味不明な放送に、喫茶店にいた他の学生からも驚きの声が上がった。   「どういうことだ?採血?許可?」    さっぱり状況は把握できないが、大学の校門を真っ白い防護服のようなものを着た連中が塞いでいるのを見る限り、緊急事態であることは理解できた。
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