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…うちは、人力車に乗っていた。
うちと変わらない位の年の兄ちゃんが人力車を引いていた。
髪をツンツンに立て、ベージュのロンTを着た至って現代的な格好だった。
「この先に凄く綺麗な場所が有るんですよ!!」
そう言って、人力車は先に進んで行った。
「…ここですよ!!」
右側には浅い池があり、黄金色と赤色の斑色した小型の鯉と少し大きい金魚が泳いでいた。
うちは金魚を見るため、人力車から降りた。
「あぁ…綺麗な所だね…」
そう言いながら、うちは先へ進んだ。
…この時、目の前には公園が、後ろに神社が有るような気がした。
すると、霧が段々濃くなってきた。
『何だか、ヤバい気がする…』
そう思った。
「スイマセン、ちょっと急ぎましょうか?」お兄さんを背にして言った。
…返事がない?
振り向くと、その兄ちゃんは何故か靴と靴下を脱ぎ、ズボンを膝まで上げて池へ入っていた。
「何してんですか!?」
そう叫んだら、兄ちゃんはキョトンとして、
「あれ?何で、池の中に?」と不思議がっていた。
「良いから早く上がって、この場から離れよう!?」
うちは兄ちゃんの手をとり、池から上がらせた。
すると、霧がもっと濃いくなった。すると、神社方面から自分が乗っている人力車が近寄って来た。
よく見ると、人力車を引いてる人は、黒い着物を着て竹か何かで編んだ帽子を被っていた。
乗っている人は、2人…
1人は赤い着物を、もう1人は緑色の着物を着ていた。
これで、現代の様なメイクならまだしも、メイクまで白塗り、赤い口紅、麿眉ときた…
正直、見た瞬間、『げ。』と思った。
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