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「じゃあ…なんでぇ…?単純に…私は好みじゃないの…?」
拭ったそばから雫はあふれてゆく。そんな彼女に零也は精一杯の心を込めた。
「僕は散葉さんを知らなすぎるんです。それなのに…よく知りもしない僕が散葉さんに好きって言うのは絶対に失礼…だと思うんです…だから…」
なんだかんだで二人が出会ってからまだ1日しか経っていない。故に零也には散葉を知る時間がなかった。
零也の言葉を聞いて、散葉は体を起こした。
「…そっか!零也くんは私のことまで考えてくれてたんだ!実はまだ恋人でもなんでもないのに……ちょっとはしゃぎすぎちゃった。ごめんね?」
ずき。
何故だか胸の奥がちくんと痛む。散葉を傷つけた、そんな気がした。自分の胸をさすってみても痛みの訳はわからなかった。
「じゃあやっぱりここは正攻法でいこっか」
「正攻法…?」
散葉はにっこり笑って屋上に人差し指を向けた。
「実際に慣れるのが一番だよ!」
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