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☆
今度はちゃんと歩いて屋上までやってきた。
朝は気付かなかったけれど、よく見るとフェンスがところどころ変形していた。特大の火炎の熱にあぶられたからだろう。
もちろん、その変化に気付いたのには訳があった。
「ち、散葉さん、やっぱり普通の服を来てくださいよぅ…」
二人は既に私服だった。
零也はいつも通りの長袖長ズボン。けれど散葉は胸が大きく開き、深くスリットの入ったチャイナ服だった。
テレビを参考に落ち葉で作ったらしい。そこらへん、秋の神様は便利だ。
「なんでぇ?」
満足げな笑みを浮かべて散葉は腕を組んだ。だうん、と胸のふくらみを持ち上げるように強調して散葉は近づいてきて零也を後ろから抱きしめた。
「布が薄い方が…気持ちいいと思ったんだけど…。反省してるんだよぉ?零也くんにもお勉強があるのに引っ張り出しちゃったし…だからぁ…」
ぎゅむ、ふにん、ぎゅむむ。
脱力と緊張を繰り返して散葉はたわわな果実を押し当てる。
あぅ、あぅ、あぅぅ。
「や、やめ…やめ…」
「ん~?なぁ~にぃ~?散葉、聞こえな~い」
い、いぢわるだ!
思いはするものの言葉にはならない。
「な、何をしてるの!零也を離して!」
声は屋上への唯一の出入り口であるドアからだった。
そこにはショートヘアの茶髪の女の子が立っていた。あれは確か零也のクラスメートだ。
「山声さん…?」
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