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「誰よあなた?」
「山声響!零也の同級生だよ!そんなことより零也を離して!嫌がってるじゃない!」
ふと、零也は思う。今日は平日だ。だというのに彼女は何をしてるんだろう。自分たちが人のこと言えないのはわかっているけれどやっぱり気になる。
「…零也くん?嫌なら嫌って言っていいんだよ…?」
いきなり声のトーンが下がった零也は慌ててこたえた。
「な、泣かないでください!嫌じゃないです!」
「ふふっ…イヤじゃないんだぁ?じゃあ…好き?気持ちよかった?ちなみに私は零也くん大好きだよ」
泣いてなかった。うまい具合に騙されてしまった。しかもこんな言い方はずるいと思う。
「えぅ…その…気持ちよかった…です…」
「きゃ~ん!気持ちよかったなんて零也くんえっちぃ!」
言いながら散葉は零也を抱きしめてうりんうりん胸を押し付けた。そこで耐えかねた響が口を開いた。
「今のは誘導尋問よ!零也は優しいからあんな風に言われたら言うしかないもん!」
「でも零也くん昨日は自分から一緒に寝たいって言い出したよね?」
響が零也の顔をじ~と見つめていた。こ、答えるしかないのか…!
零也は勇気を振り絞って口を開いた。
「い…言いました…」
「零也の変態~~!」
ぐさり、言葉は胸に突き刺さった。叫んで走りだそうとした響の目の前の扉に紅葉が突き刺さった。葉っぱを操るのは秋の力だ。つまり────。
「あんた、零也くんのことなにも知らないくせに変態とかほざいたわね?」
鬼神が光臨した気がした。
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