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「な…なによ!あんただって人間じゃないんでしょ!?正体を現しなさいよ!」
あんただって。
つまりは響も人ではないのだ。さっきの違和感はそのためかもしれない。けれど、なぜ散葉からは同じ違和感がなかったのだろうか。
零也が考え込んでいると視界の端にとらえていた散葉の髪が赤く染まった。
「これがあたしの正体よ」
まだ少し涙声だった。
「う…嘘よ…そんな…神だなんて…」
「この姿になんないとわかんないくらい妖気が薄いのね。あなた木霊ね?」
びくっ、と響きは肩を揺らした。木霊?あの山とかで叫ぶと声が帰ってくるやつだろうか。
そこで零也は彼女の名を思い出した。山声響。なるほど、そのまんまだった。
「離れた所に声を飛ばす妖怪。ま、悪さはしないんだけどね」
多分、散葉は零也に説明してくれたのだろう。彼女は妖怪らしい。さっきの違和感はそのせいかもしれない。
「あ…ぅ…」
「あの…山声さん?顔が青いですよ?」
ぺたん、と響は膝を追った。その顔は青ざめているのに、彼女は笑っていた。
「あ…はは…また、また住むところがなくなっちゃうんだ…」
「え…?」
「零也くん、私も昨日いろいろ書類を読まされたの。この学校は、ほとんど全生徒が妖怪なの」
零也は言葉がなかった。
そうか、だからみんな片親や孤児ばかりだったんだ。
考えれば考えるほどパズルのピースがはまってゆく。妖怪ばかりだからどんなに成績がよくても入れないのだ。
「で、なんでかっていうとここは住処をおわれた妖怪や罪を犯したもののために作られてるからなの。」
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