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☆
部屋はまるで通夜のようだった。どんよりと重い空気が部屋に充満していた。実はこの陰気な空気を醸し出しているのは部屋のソファーに横たわる散葉だった。
「すいませんっ!すいませんっ!」
「い…いいの…零也くんが悪いんじゃないの…」
「でもっ…僕のせいじゃないですか…」
時は三十分前にさかのぼる。
「山を…凍らせた!?しかもあの星山を!?」
響の反応は二人が予想していた以上に大きかった。
後ずさり、顔をひくひくさせている。
「えっと、妖怪の力でも難しいんですか?」
「えっ…ていうか、星山って霊的磁場が異常だから妖怪が迷い込んだら出れないし、力を使いたくても私みたいな山の使い以外は、まともに力なんて使えないよ?」
「あぁ、納得。だから私の封印が結構な規模を持ってる瑠璃波でも見つけらんなかったのね」
結構な規模を持ってる?
そういえば昨日、咲夜も散葉を探していたと言っていた。瑠璃波学園の長である彼女が探していたと言うことは各地から妖怪を集める力を持っている組織が散葉を探していたと同じだ。
しかし、何故?
わざわざこの学校に入学させるためとは思えない。
だって彼女は響とは違い、神なのだから。
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