1.秋風に舞う君

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「うふふっ!さぁさぁ、響に見せつけてあげましょう?私達の愛の力をっ!」 突然に散葉は叫んだ。 体を包むであろう熱い感覚に零也は身構えた。予測通り、指輪から神の力が伝ってきて心臓に至り、全身に広がる──────刹那。 バチッ! 「あぐっ!?」 全身に伝わる瞬間に、暖かな力は激痛へと変わった。 たまらず零也は膝を折った。 「零也!?ちょ…ちょっと!?なにが大丈夫なのよ!?痛そうじゃない!」 「そ…んな…!」 二人が騒ぐ中、零也はゆるゆると起き上がり、ゆったりのったり二人に近づいた。 「すいません!失敗しちゃいました…次は多分平気ですから」 「ダメよ…神降ろしは信頼が強いなら力は絶大だけど…でも!なんらかの…ふえっ…嫌悪感とか…えっぐ…そういうのが対象になる相手にあれば…それが強ければ…強いほどにダメージを受けちゃうの…!だから…あんなに痛がるってことは…私を嫌ってるってことなの…!ふえぇえぇえん!零也くんに嫌われちゃったよ~!」 と、こんなことがあった。 大泣きした散葉はソファーに伏せっていて、それを零也が慰めていた。 「散葉さん…僕、散葉さんを嫌ってなんかないです…」 「うん、わかってるよ?それより…大丈夫…?あんなにバチバチッって…」 「あ、大丈夫ですよ?痛かったのはあの時だけで…」 ふわっ、と散葉が抱きついた。甘い匂いが香り、零也は一瞬うっとりしてしまった。 「ごめんなさいっ…私…零也くんに痛い思いさせるなんて…」 ずきん、ずきん。 胸を襲う疼痛は止まらなかった。
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