2.仲直りしましょ?

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充分に予想できることだった。この学校の生徒はほとんどが妖怪。そう知らされてはいた。けれど、その考えにいたる時間は与えられていなかったのだ。散葉さん、泣くし。散葉さん、キッチン燃やすし。 「…ごめんな?騙してて…大丈夫だ、戦いが終わったら俺は学校を…」 「いやだ」 初めてかもしれない。 基本的に流されるままの零也に政基は選択を迫ることはあまりないし、あっても零也はあぅあぅ言いながらうん、と答えるのだ。だからこれは零也から政基への初めての反発だった。 「出ていっちゃ、いやだ」 「…でもな、俺はお前を騙して」 「騙してなんかないっ!いつ政基くんが『俺は人間だ!』なんて言ったのさ!今まで言わなかっただけじゃないか!なんで秘密を教えたら僕の前から消えちゃうの!?…政基くんは僕の初めてのお友達じゃない…いなくならないでよ…」 ポロポロと涙がこぼれた。 政基を追いつめたことが悲しくて、信用されなかった自分が悔しくて、涙は止まらなかった。溢れた涙を隣の散葉が抱きしめて隠してくれた。 困った政基は咲夜に助けを求めるように呟く。 「校長…」 「あら、私は退学を言い渡した覚えがありませんが」 「で、ですが規則では…」 「私、零也さんが人間だって言いましたっけ?」 言われてから政基は記憶を辿る。確かに入学してきたときも新しい子が来たとしか言われていない。零也だけはなんの妖怪か不明だ。 「まぁ、人間かもしれませんがそんなこと、あなたにはわかりませんよね?鬼は戦闘に長けてはいるものの、術はあまり得意ではないはずですし」 「じゃ、じゃあ…」 「規則に反していない者をどうして退学に出来ましょうか」 咲夜は花が咲いたような笑みを浮かべた。
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