2.仲直りしましょ?

5/46

13122人が本棚に入れています
本棚に追加
/149ページ
       Ⅱ 夜が明けた。 時計に目をやり、零也は布団に伏せた。 誰も怒りはしない。 だって今日から秋休みなのだから。二度寝してもいいのだ!たまには惰眠を貪るのだ!零也は枕に顔を擦り付けた。 ふにゅん、ふにゅん。 「えぅ?ふにゅん?」 「やぁん、零也くんたら朝から狼さんっ!」 ばっ、と零也は飛び起きた。 目の前にはパジャマのボタンが四つ開いて、もう肌を隠すという役割を果たさない布を纏った散葉がいた。零也が枕だとおもってスリスリしたのは散葉の胸だった。 「ち、散葉さん!なんで僕のベッドで…!昨日、咲夜さんに散葉さん用のベッド貰ったじゃないですか」 「え?うん、だから私は自分のベッドで寝てるんだよ?ほら、紅色の布団カバー。零也くんのベッド、そっちだよね?」 散葉が指差した先には紺色の布団カバーのベッドがあった。散葉は紅色、零也は紺色と昨日決めたのだ。…というか、咲夜に決められたのだけど。 いや、今はそんなことよりも───。 「あわっ!?僕が間違えてたんですか!?」 「ううん、それも違うよ?」 「え?」 「夜中にトイレに起きたあと、零也くん私に『あの…やっぱり一緒に寝ちゃ…駄目ですか…?』って」 長い黒髪を後ろで縛りながら散葉は説明してくれた。 あ、散葉さんポニーテールも可愛いなぁ…じゃなくて! 「ぼ、僕ってばなんてことを!」
/149ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13122人が本棚に入れています
本棚に追加