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Ⅱ
夜が明けた。
時計に目をやり、零也は布団に伏せた。
誰も怒りはしない。
だって今日から秋休みなのだから。二度寝してもいいのだ!たまには惰眠を貪るのだ!零也は枕に顔を擦り付けた。
ふにゅん、ふにゅん。
「えぅ?ふにゅん?」
「やぁん、零也くんたら朝から狼さんっ!」
ばっ、と零也は飛び起きた。
目の前にはパジャマのボタンが四つ開いて、もう肌を隠すという役割を果たさない布を纏った散葉がいた。零也が枕だとおもってスリスリしたのは散葉の胸だった。
「ち、散葉さん!なんで僕のベッドで…!昨日、咲夜さんに散葉さん用のベッド貰ったじゃないですか」
「え?うん、だから私は自分のベッドで寝てるんだよ?ほら、紅色の布団カバー。零也くんのベッド、そっちだよね?」
散葉が指差した先には紺色の布団カバーのベッドがあった。散葉は紅色、零也は紺色と昨日決めたのだ。…というか、咲夜に決められたのだけど。
いや、今はそんなことよりも───。
「あわっ!?僕が間違えてたんですか!?」
「ううん、それも違うよ?」
「え?」
「夜中にトイレに起きたあと、零也くん私に『あの…やっぱり一緒に寝ちゃ…駄目ですか…?』って」
長い黒髪を後ろで縛りながら散葉は説明してくれた。
あ、散葉さんポニーテールも可愛いなぁ…じゃなくて!
「ぼ、僕ってばなんてことを!」
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